ここまでやってこられたのは、平田さんのおかげです。
私が10年勤めた会社が倒産したとき、正直エンジニアを辞めて、異業種に転職しようかと悩んでいました。
でも、「まあ、最後にやれることはやってみよう」と思い立ち、Tera Termをオープンソース化した平田さんのことを思い出したんです。彼のおかげで、これまで仕事を続けて、ごはんを食べられてきたようなものですから。
それで、栃木からわざわざ高速を使って、金沢で開かれた勉強会に参加しました。これが平田さんとの初めての出会いでした。
びっくりしたのは、平田さんが自分と同い年だったことです。同じ歳で、こんなにも差がつくものなんだなぁと感じました。そして、彼がいる世界は、自分にはとても届かない場所だと痛感しました。
結局、私は某ホスティング業界で働くことになり、そこでカーネルのセキュリティについて学ぶようになりました。そして、平田さんの本を読むことも増えました。
おかしな話ですが、平田さんが20年前に書いた本が、今の自分にはちょうどいいレベルなんです。つまり、それだけ20年という差があるんだろうなと思います。
まあ、ボリボリ君みたいに彼をライバル視する気はありません。20年の差はどう頑張っても埋められませんしね。
それでも、自分がEPELメンテナーという肩書きを持てて、カーネルハッカーと名乗れるようになったのは、間違いなく平田さんのおかげだと思っています。
Apacheの障害を、PHPの処理の仕組みやglibcとシステムコール、カーネルの動きや連続した流れの中から見抜けたのも、カーネルの仕組みを知っていたからこそです。これがボリボリ君の嫉妬を買ったのかもしれませんね……。
EPELメンテナーという肩書きは、私には十分すぎるくらいの誇りです。
これからも、地道にカーネルの開発を続けていこうと思います。
改めて、平田さんに心から感謝しています。